ロードバイク自由研究 感覚の数値化 

理科好きエンジニアが自転車を自然科学で考える

タイヤ空気圧と温度

試走やレースでタイヤ空気圧をきっちり合わせたい時は、温度を気にして、直前に調整しよう!

 

 温度上昇すれば、タイヤ空気圧も上昇することを知っている人は多いと思うが、どの程度か計算してみた。

 

青線の左下図は、タイヤ空気温度が0℃でタイヤ空気圧を200kPaに調整後、タイヤ空気温度が0℃~40℃に上昇した時のタイヤ空気圧を計算したもの。

赤線の右下図は、タイヤ空気温度が0℃でタイヤ空気圧を700kPaに調整後、タイヤ空気温度が0℃~40℃に上昇した時のタイヤ空気圧を計算したもの。

※空気圧が上がってもタイヤが膨張しないという前提で計算したので、実際はこれよりも小さい。後日、実験して実際の値を測ります。

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タイヤ空気圧と温度の関係(体積一定時)

朝に200kPaに調整して昼間に10℃上昇することは、よくあると思う。

直射日光に当たれば、40℃上昇してもおかしくない。

こんな時、10kPaや40kPaも変化するので、無視できない。

シクロクロスしている人は、だいたい10kPa刻みで調整している。

 

ちなみに100m登るごとに約1.0kPaずつ上がっていく。 わずかだ。

 低気圧が接近して10hPa低下すると1.0kPa上がる。わずかだ。

10kPa変化させようと思うと、1000m登るか、猛烈な台風が通過する時か。

1時間くらい登り続けて、やっと体感できるようになる程度。

これらに比べると、温度の影響はとても大きい。

 

 

参考に計算過程は次の通り。 

高校で習う、ボイル=シャルルの法則「PV/T=一定」を使う。

ここで、P:圧力[kPa]、V:体積[m^3]、T:絶対温度[K]。

体積一定の時、圧力は絶対温度に反比例する。

つまり、「P/T=一定」 。 

 

タイヤ空気圧が200kPa(2.0bar)とは、大気圧との差。

大気圧は、標高0mで101.3kPa≒100kPa。

間違えがちだが、100kPaを加えてP=300kPaとして考える必要がある。

 

絶対温度[K]とは、0℃の時に273K(ケルビン)、10℃の時に283K、30℃の時に303Kというように、℃に273を加えたもの。

 

温度0℃(273K)の朝に、タイヤ空気圧を200kPa(P=300kPa)に調整すると、昼間に10℃(283K)まで温度上昇したとすれば、300/273×283より、約311kPa。100を引いて、211kPaとなる。つまり、10℃上がると、11kPa上昇する。